ネパール:自治体職員のための廃棄物研修

ワークショップ概要

廃棄物に関する専門家会議の中で、アジア側出席者からひときわ関心を集めたのが、段ボール箱を活用したコンポストの手法でした。アジアの多くの都市では適切な廃棄物処理や収集が大きな課題となっていますが、施設や設備の整備、専門知識をもった人材の育成が加速する人口増加に追いつかないのが現状です。段ボールコンポストは、家庭の生ゴミを堆肥化し、家庭から排出されるゴミの量を削減することにより、自治体の抱える収集・処分の課題を大幅に縮小することが可能となります。

また、段ボールを活用することにより、容器など設置コストも低く抑えられ、住民側にとってもコスト負担が少ないうえ、良質の堆肥を入手できるメリットが得られます。国連ハビタットでは、今回ネパールでフォローアップのワークショップを行うこととし、ネパール政府および国連ハビタット水と衛生チームと共同で、ネパールの自治体廃棄物担当者への研修、段ボールコンポストの紹介・デモ・現地化や普及の方法について協議を行いました。

参加機関

NPO循環生活研究所(堆肥)

レポート

2009年10月に福岡で開催された環境技術専門家会議でアジア参加国から大変関心の高かった段ボールコンポストは、2月にネパールで紹介されたのち、まずバグルング市において、300世帯から段階的に導入されることになりました。
このため、段ボールコンポストの技術的な知識、またコミュニティの参加意識や廃棄物問題への意識向上をはかる方法など、住民を指導しアドバイザーとなる指導者を養成するための研修を6月に実施しました。
今回の研修では、段ボールコンポストの取り組み方に加え、失敗しやすい点や回復の方法、ネパール国内でも地域によって異なる食品への留意点や床となる素材の作り方、また世帯の生ゴミのみならず、地域の公園や休閑地を活用した公園コンポストや、学校教育の中での取り組みかた、完成した堆肥の活用方法など、多くの具体事例が紹介され、参加者はそれぞれの自治体の事情に照らし合わせて活発な質疑を行いました。
バグルング市では、写真のように愛着を持って段ボールで堆肥作りを続ける家庭も多く、ネパールの都市の生活の中にも順調に浸透しているようです。

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