モンゴル:下水処理施設における水質浄化プロジェクト

プロジェクト概要

なかでも納豆菌群をセメントブロックに組み入れた水質浄化の技術(コヨウ株式会社:福岡県みやま市本社)に対しては、モンゴルから出席したウランバートル上下水道公社のプレブジャブ社長が強い関心を示し、「一度現地を見に来てくれないか」と要望。その後日程や事業内容を調整し、2010年2月に現地パイロット事業が実現しました。
ウランバートル市では、急速な都市化や人口増加にインフラの整備が追い付かず、下水処理施設でも処理能力を超えた下水質の低下が問題となっていました。今回の目的は、下水処理施設の処理過程に上述ブロックを加えることで、下水の改善を図るものです。そのため、今回約1週間の日程で行われたパイロット事業では、市内6か所の下水処理施設のうち、3か所から処理後の下水を採取し、浄化ブロックの効果を測定しました。
現在も経過観察を継続中ですが、大腸菌、アンモニアなど複数の検査項目において改善が認められる場合、今後は処理施設のひとつで実際にブロックを設置することを検討しています。

技術紹介

今回のパイロット事業で、ウランバートル市上下水道公社の要望によって選ばれた技術は、
コヨウ株式会社によるエコバイオブロックです(以下、EBB)。

EBBは好気性納豆菌群と多孔質石を用いた「発酵」メカニズムを活用した技術で、納豆菌が水に触れることで多孔質内に多く繁殖し外へ飛び出し、有機物を吸着し、沈殿、分解を行う性質を活用して水質を浄化するものです。水中の大腸菌や腐敗菌を分解し、衛生状態を改善することが可能です。安定した効果を長期間得られるため、維持管理も容易で、途上国での使用に適しているといえます。

参加団体: コヨウ株式会社、オーラテック社、ウランバートル市上下水道公社

レポート

2010年2月に実施されたモンゴルでのパイロット水質浄化事業の大変良好な結果を受け、8月には実際の排水処理施設のひとつに、エコバイオブロックが設置されました。

今回ブロックが設置されたのは、ウランバートル市中心部から約50キロ離れた郊外の居住地区から排水を受ける池ですが、排水処理設備がないため、池に生活排水がウランバートルの主要河川であるトウル川にそのまま浸み出していたこと、その場所がトウル川上流の取水場に近接していたこと、また今後同地区は再開発地区として人口増が予定されていることなどから、ウランバートル市水道公社が最優先に設置を望んだものです。

ブロックは、池の水面に近いところでバクテリアが最大限に活動できるよう、特別に浮輪方式が開発され、合計80の浮き島が排水池に設置されました。ブロックが設置されてから約1か月経過した時点で、水質が約30%改善されています。

関連資料

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