日本政府と国連ハビタット、アフガニスタン都市部で基礎的サービスと生計改善を支援

アフガニスタン、カブール – 2024107: 日本政府は国連人間居住計画(国連ハビタット)を通じて、今後3年間で11億6600万円(約736万米ドル)を拠出し、アフガニスタン都市部に暮らす脆弱な人々(10万人超)を対象に基礎的サービスの提供と生計改善のための事業を支援します。本事業は、昨年10月7日に西部へラート県で発生した震災の復興に寄与するものです。本日、在アフガニスタン日本大使館と国連ハビタットの間で交換公文が署名され、その後、国際協力機構(JICA)と国連ハビタットの間で無償資金協力の贈与契約が締結されます。

アフガニスタンは現在、深刻な人道的かつ経済的な危機に直面しています。30年以上にわたる紛争に加え、環境の悪化やインフラへの投資不足が影響し、自然災害など突発的なショックに対する都市部貧困層の脆弱性はさらに悪化しています。2021年8月の前政権崩壊以降、国際社会は国内各地の脆弱な人々に緊急援助を届けてきましたが、都市部の貧しい住民は取り残されがちであり、その結果、都市部の脆弱性が一層深刻になっています。

国連ハビタット福岡本部(アジア太平洋事務所)の石垣和子本部長は「基礎的なサービスの提供に欠かせない主要インフラが依然として貧弱なままで、都市部での生活に悪影響を及ぼしていますが、この問題は重要であるにもかかわらず、しばしば見過ごされてきました。包摂的な復興を進めるためには、人道支援だけでなく、ベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)に焦点を当てた支援戦略の転換が必要です」と強調。「日本とのパートナーシップはコミュニティのインフラを強靭にし、アフガニスタンの地域社会を支援する取り組みを加速させるものです」として、日本政府の支援に感謝の意を表しました。

在アフガニスタン日本大使館の黒宮貴義大使は「レジリエンスの向上、生計の維持、人権の保護、そして開発成果の継続は、今日のアフガニスタンにおいて極めて重要です。日本は国連ハビタットとのパートナーシップを通じて、引き続きアフガニスタンの人々を支援していきます」と述べました。

「都市脆弱層のための生活環境改善計画(UN連携/UN-Habitat実施)」は、カブール県とヘラート県で実施され、主要なコミュニティ・インフラの復興、補強、建設を通じて、都市部の貧困層が基礎的サービスや生計手段により良くアクセスできるようにすることを目指しています。アフガニスタンでは、干ばつ、洪水、地滑り、地震といった自然災害が、複雑な地形や気候変動、社会経済的課題によって高められたコミュニティの脆弱性をより深刻なものにしています。この事業では、持続可能な解決策に基づいてこれらの課題に取り組むため、「より良い復興」(Build Back Better)のアプローチを採用しています。

このプロジェクトでは、カブール県とヘラート県の計38対象地域で、医療施設、水・衛生(WASH)設備、排水路のあるアクセス道路などが改善され、10万人以上が恩恵を受ける見込みです。これらのインフラ改善活動を通じて、生活環境の向上だけでなく、対象地域の貧困層に賃金収入の機会が提供されます。加えて、職業技能研修も実施され、生計向上の支援が行われます。 2024年現在、アフガニスタンでは推定2,370万人(全人口の半数以上)が人道支援を必要としており、同国は依然として世界最大規模かつ最も複雑な人道危機のひとつとされています。都市人口の急激な増加や、近隣諸国からの帰還者の増加が、すでに逼迫しているアフガニスタンの基礎的サービスの不足をさらに悪化させており、こうした喫緊の課題に対処する上で、日本政府と国連ハビタットのパートナーシップは極めて重要なものとなっています。

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