アフガニスタン:国連ハビタットとJICA、ヘラート地震からの復興に向けた取り組み

2024年4月30日、カブール - アフガニスタン西部にあるヘラート県では昨年10月、地震の発生により9つの地区が被災し、27万5256人が直接的な影響を受けました(OCHA)。国連人間居住計画(ハビタット)と国際協力機構(JICA)は、被災地した村でコミュニティ・インフラの再建・強化を目的としたパイロット活動を実施し、震災からの復興に向けた取り組みを前進させました。

「より良い復興(Build Back Better)」を目指した国連ハビタットとJICAの取り組みは、コミュニティ・インフラを復旧するだけでなく強化していくことで、将来の災害に対する強靭性(レジリエンス)を高めることを目的としています。

この取り組みでは、被災地域のひとつであるヘラート県ジンダジャン地区の村々で被害状況に関する調査を実施し、特に保健と水衛生の基礎的サービスへのアクセスに関してインフラ被害の状況とニーズを把握し、復興への道筋を支援しました。

調査対象地域の中から、より良い復興に向けたアプローチを実証するパイロット活動の実施地となったカーナイル・ワーダック村には、27世帯80家族の計617人が住んでいます。その中には、世帯主となっている女性、障害のある人、親を亡くした子どもたち、夫と死別した女性、高齢者など、弱い立場にある人々が含まれています。

被災した住民たちは住む家を失い、現在は仮設テントで生活を送っています。村にある保健センターの建物は地震で大きな被害を受けました。また、給水システムを失ってしまったためで、日々の飲料水は給水車やボトルなどに入った水に頼っています。トイレへのアクセスも課題で、人道支援機関が緊急援助として公共の仮設トイレを提供しています。

「たった1日の地震ですべてを失ってしまいました。あまりにも突然の出来事でした。絶望しかありませんでした」と、カーナイル・ワーダック・コミュニティ開発協議会(CDC)のガラム・サイード代表は振り返りました。

国連ハビタットとJICAによる取り組みは、コミュニティ・インフラにおける甚大な被害に対処するため、カーナイル保健センターの再建と耐震性の改善、給水ネットワークの改善、適切な排水システムを備えた新舗装道路の建設に重点が置かれました。

コミュニティによる行動計画の策定プロセスでは、33人の協議会メンバー(男性14人、女性19人)が意思決定のための話し合いに参加しました。こうした活動は今、包括的な復興プロセスにおける強靭性とコミュニティのエンパワーメントを象徴するものとなっています。

「復興への道のりは長く、まだ多くの仕事が残っていますが、今日、復興への重要な節目を迎えることができてありがたく思います」とコミュニティを代表してサイード氏は述べました。今回再建された施設は、地元コミュニティと保健センターに引き渡され、今後の運営管理とメンテナンスを担っていきます。

サイード氏は「国連ハビタットとJICAの支援は、単にインフラ施設を再建するだけでなく、私たちの生活を立て直し、コミュニティが将来の災害に耐えられるようにしてくれました」と続けました。

「国連ハビタットとJICAは、村の復興のために行動を起こしてくれた最初の機関です。再建された保健センターでは、ヘルスケアを必要とする人々、特に女性や子どもたちに、基礎的サービスの提供を再開することができます。この支援に感謝しています」と、カーナイル保健センターのムスタバ・マフムーディ所長は語りました。

この診療所では、周辺にある21の村(人口1万4674人)に医療サービスを提供しています。セメントモルタルの比率を高めた壁塗り、ポリ塩化ビニル製の窓とドアの設置、適切なレンガ積みとセメントモルタルによる境界壁の再建など、レジリエンスを高める方策を取り入れることで、この診療所は将来の自然災害に備えることができるようになりました。

保健、水・衛生、道路など分野横断的な視点から、コミュニティ・インフラに対する統合的かつ包括的な取り組みを行うことは、被災コミュニティが直面する複雑な課題に対処する上でとても重要です。

「私たちの村は強風にさらされることが多く、埃っぽい道路にはいつも悩まされています。降雨時には、雨水が生活排水と一緒になって道にたまり、とても不衛生なだけでなく、特に女性や子どもにとっては歩くのも大変になります」と、村に住む女性ラミナは話しました。

この村では、適切な排水システムを備えた舗装道路がなかったため、基礎的サービス、特に保健と水・衛生に大きな影響を及ぼしていました。災害や緊急事態の形態に関係なく、人々の命を守るためには、重要なライフラインや鍵となる場所へのアクセスを確保し、それらをつなぐことが不可欠です。

ヘラート地震を受けて実施されたニーズ調査報告書(PDNA)によると、ヘラート県における復興支援活動には4億290万米ドルが必要とされています。また、緊急支援から長期的な復興支援へと移行していくことの必要性を強調しています。復興に向けた戦略は、コミュニティのレジリエンス構築、サービスの復旧、耐震性の高い住宅、生計手段の強化、社会的保護、とりわけ甚大な被害を受けた家族のための基礎的サービスへのアクセスを優先する必要があります。同報告書は、より良い復興の原則を取り入れながら、女性のエンパワーメントと災害リスクの軽減、気候変動への耐性の強化を強調しています。

アフガニスタンの自然災害に対する脆弱性は、複雑な地形、気候の変化、社会経済的な課題によって高まっています。災害リスク軽減戦略の必要性を認識し、災害が起こりやすい他の地域でも同様の取り組みを拡大することが求められています。また、今後の取り組みでは、活動の対象範囲を地震から洪水、干ばつ、地滑り、雪崩、豪雪、降雪など気候変動の影響へと拡大していくことが強く望まれています。

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